杉本治療院のホームページでは、指圧や鍼灸、症状別の治療記事とともに、九星気学についても発信しています。
そのため、
「なぜ治療家が九星気学を学んでいるのだろう?」
「指圧や鍼灸と気学には、どんな関係があるのだろう?」
と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
私にとって、この二つはまったく別の分野ではありません。
指圧の源流をたどると按摩へ、按摩の背景をたどると中国医学へ、さらにその根底を見ていくと「気の思想」へ行き着きます。
そして、その世界観から発展してきたものの一つが、気学や易です。
今回は、治療家である私がなぜ九星気学を学び続けているのか、その背景を指圧の歴史からたどってみたいと思います。
指圧療法のルーツをたどる
指圧療法は、日本で生まれ、発展してきた治療法です。
その成り立ちを見ると、中国から伝わった古法按摩を基礎としながら、カイロプラクティックやオステオパシーなど、西洋の整体療法の理論も取り入れられてきた流れがあります。
ここでいう古法按摩は、単なる慰安やリラクゼーションを目的とした手技ではありません。
経絡の虚実をみながら、補う「補法」と、余分なものを取り去る「瀉法」などを用いて身体へ働きかける、医術としての手技療法です。
さらに歴史をさかのぼると、按摩や導引按蹻(どういんあんきょう)といった古い手技へと行き着きます。
そして、その土台にあるのが漢方、つまり中国医学です。
按摩は中国医学の中で発展してきた
現在、「漢方」という言葉は、漢方薬を指す意味で使われることも多くなっています。
しかし、ここでいう漢方とは、薬だけでなく、鍼、灸、按摩などを含めた中国医学全体を指しています。
つまり、指圧の源流にある按摩も、中国医学の中で発達してきた手技療法の一つです。
そう考えると、指圧を深く学ぶためには、手技だけではなく、その背景にある医学思想まで知ることが重要になってきます。
人類には大きく3つの医学があるという見方
私がこれまで学んできた中では、人類が築いてきた大きな医学体系を、
・漢方(中国医学)
・イスラム医学
・アーユルヴェーダ(インド医学)
という三つの流れで捉える見方があります。
日本では江戸時代、杉田玄白らによってオランダ語の医学書『ターヘル・アナトミア』が翻訳され、『解体新書』として広く知られるようになりました。
こうした流れをきっかけの一つとして、西洋医学も日本に広まっていきます。
また、アーユルヴェーダは、非常に古い歴史を持つインド医学として知られています。
世界には、それぞれの土地や文化の中で育まれてきた医学があります。
その中で、中国医学を支えてきた重要な土台の一つが、陰陽五行と「気」です。
中国医学の背景にある「気の思想」
中国医学は、「気」を中心とする世界観や陰陽五行の思想が、医学へ応用され、体系化されてきたものと捉えることができます。
では、その「気の思想」は、どのように生まれたのでしょうか。
その起源については諸説ありますが、ここでは私が学んできた流れをもとにご紹介します。
気学では、その始まりを、およそ1万年前、人類が狩猟採集を中心とした生活から、農耕や牧畜へと移っていった時代までさかのぼって考えます。
狩猟採集の時代、人は力を自分の内側に求めた
農耕が始まる以前、人類は長い間、狩猟や採集によって生活していました。
大きな動物を相手に狩りをするためには、強い肉体や精神が必要だったと考えられます。
そこで人々は、自分自身の内側にある力を引き出そうとしたとされています。
顔や身体に模様を描く。
鳥の羽を身につける。
動物の角などを身につける。
そうした行為を通して、自分の中にある神秘的な力を高めようとしたという捉え方です。
また、女性が子どもを宿し、出産し、母乳を与えるという営みから、生命を生み育てる身体そのものにも、特別な力があると考えられていました。
農耕が始まり、人は自分の外側にある力へ目を向ける
やがて人類の生活は、狩猟採集から農耕へと変化していきます。
すると、人々のものの見方にも大きな変化が生まれます。
作物を育てるためには、人間の力だけではどうにもなりません。
太陽の光、雨、水、土。
さらに、種をまく時期、雨が降る時期、実りを迎える時期。
人々は生活を通して、春・夏・秋・冬という季節の巡りや、自然界に一定のリズムがあることを知っていきます。
そして次第に、
「人間の力だけではなく、自分たちを超える大きな働きが、この世界にはあるのではないか」
と考えるようになります。
太陽が昇り、沈む。
月が満ち欠けする。
星々が巡る。
雨が降り、風が吹き、季節が移り変わる。
こうした天地の営みを観察する中で、人間を超えた秩序や法則を見いだしていく。
このような自然観から、「気」を中心に世界を見る思想が次第に広がっていったと捉えます。
中国では、天地を動かす根源を「太極」と捉えた
自然の中に、人間の力を超えた秩序や法則がある。
そうした世界を見つめる中で、中国では「太極」という概念が生まれたと伝えられています。
太極は、天地万物が生まれる根源を表すものです。
また、その象徴として重要視されてきたのが北極星でした。
夜空を観察すると、多くの星が移動していく中で、北極星はほとんど位置を変えず、その周囲をほかの星々が巡っているように見えます。
古代の人々は、その姿に宇宙の中心や秩序を重ねて見たのでしょう。
天地は無秩序に動いているのではなく、一定の法則の中で動いている。
こうした自然観が、後の気学や易を考える土台の一つになっていきます。
伏義と河図洛書
気学や易の起源を語るうえで登場するのが、古代中国の伝説的人物伏義(ふぎ)です。
伝承では、伏義は天体の動きや自然、水の流れなどを観察しながら、天地の法則を読み取ったとされています。
その思想と深く関わるものとして伝えられているのが、「河図洛書」です。
ここには、後の東洋思想を理解するうえで重要になる、
数字
方位
陰陽
五行
といった要素を見ることができます。
さらに、先天定位や後天定位など、後の気学や易へ発展していく世界観も、この流れの中で語られてきました。
自然界の現象を観察し、そこに共通する法則を見いだし、それを数字や方位、陰陽五行によって表していく。
気学や易には、このような壮大な自然観が背景にあります。
気の思想から気学と易へ
天地自然を「気」の働きとして捉える思想は、やがてさまざまな体系へと発展していきます。
その代表的なものが、気学と易です。
気学は、正式には「九星気学風水」と呼ばれます。
九星、十二支、十干、方位、時間などを用いながら、天地と人間の動きを見ていきます。
一つひとつの出来事を単独で見るのではなく、時間や環境、自然の流れの中で考えるところに特徴があります。
一方の易は、「変化」を見る学びです。
天体が動き、季節が移り、人の心や社会も変化していく。
変わり続ける世界の中で、今はどのような状態にあり、これからどう変わっていくのかを考えます。
気学も易も、単に未来を当てることだけを目的とするのではなく、自然や人間の変化を知り、その中でどう生きるのかを考える学びとして捉えることができます。
そして、気の思想は医学の世界へ
この世界観は、医学にも取り入れられていきました。
気、陰陽、五行、経絡などを用いて、人間の身体や病気を捉える。
そこから中国医学が体系化されていきます。
古代中国を代表する医学書として知られる『黄帝内経』には、鍼灸や経絡、陰陽五行、季節と身体の関係など、中国医学の基本となる内容が記されています。
その医学体系の中で、鍼や灸とともに、按摩などの手技療法も発展してきました。
そして中国から日本へ伝わり、時代とともに変化しながら、按摩や現在の指圧療法へと受け継がれていきます。
指圧・鍼灸のルーツをたどると、同じ世界が見えてくる
ここまで歴史をさかのぼると、最初は別々に見えたものが、一つの流れとして見えてきます。
指圧
↑
按摩・導引按蹻
↑
中国医学
↑
気学・易
↑
気・陰陽五行
↑
天地自然を観察する思想
鍼灸もまた、中国医学の中で育まれてきた治療法です。
ですから、私にとって気学を学ぶことは、治療とは無関係な別分野を学んでいる感覚ではありません。
日々行っている治療の背景にある思想を、さらに深くたどっている感覚に近いのです。
私が治療家として九星気学を実践している理由
私は長年、指圧を中心に臨床を続け、現在は鍼灸も取り入れて治療を行っています。
同時に、九星気学や易も学び、日常の中で実践してきました。
それは、単に東洋思想が好きだからという理由だけではありません。
自分が携わっている治療の背景に、どのような思想があるのかを知りたい。
なぜ昔の人は身体を「気」で捉えたのか。
なぜ陰陽五行を使うのか。
なぜ季節や自然環境まで含めて人間を見るのか。
そうしたことを学んでいく中で、気学や易への理解も深まってきました。
治療技術を学ぶだけでなく、その技術を生んだ思想まで知る。
それが、私が九星気学を学び続けている理由の一つです。
なぜ杉本治療院で九星気学を発信しているのか
杉本治療院のホームページに、九星気学カテゴリーを設けているのも同じ理由です。
指圧や鍼灸の記事とは関係のないものを、突然発信しているわけではありません。
身体を学ぶ。
その背景にある中国医学を学ぶ。
さらに陰陽五行や気を知り、自然や時間の見方へと視野を広げていく。
私にとって、治療と気学はこのような一続きの学びです。
そして九星気学には、治療家だけに限らず、多くの方に役立つ魅力があります。
自分を知ること。
人との違いを知ること。
時間の流れを知ること。
そして、知ったうえでこれからどう生きるのかを考えること。
その面白さを、杉本治療院のブログからもお伝えしていきたいと思っています。
気の思想や歴史には諸説があります
今回ご紹介した気学や易、気の思想の起源については、さまざまな説があります。
この記事では、私がこれまで学んできた東洋思想や気学の流れをもとに、その大きな道筋をご紹介しました。
私が大切だと感じているのは、細かな年代を覚えることよりも、
人間が自然を観察し、天地の変化を捉え、その世界観を気学・易・医学へと発展させてきたという流れを知ることです。
指圧や鍼灸を深く学ぶことと、九星気学を学ぶこと。
私の中では、その根には共通するものがあります。
もっと深く九星気学を学んでみたい方へ
九星気学を学んでいくと、九つの星や運勢を見るだけでなく、その背景にある気、陰陽五行、易、東洋思想へと理解が広がっていきます。
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